キングとナイト
「…………」

俺は、夷隅の家の前にいる。

結局、謝りたくて来てしまった。



指を伸ばしてチャイムを押せばいいのだが……。

「…できん」

俺って、こんなに意気地無しだったか?

まいったなぁ……。



「貴方は?」

そんなこんなで、家の前をうろついていると、ビシッとスーツを着こなしている、かなり美形の男の人に声をかけられた。

「えっと…、夷隅さんの学校の先輩です」

そう言って、俺は頭を下げた。

「そうですか。私は、相楽と申します」

そう言って、スーツの男の人も頭を下げた。

「すみませんが、魅夜様にこれを渡しておいて下さいませんか?」
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