聖夜の忘れ形見
どんよりとした灰色の空を2人で見上げた
9月だというのに、かなり肌寒い
虎太郎さんとうまく───…
脳裏に浮かぶのは、至近距離で自分を見つめる虎太郎の眼差し、熱い吐息
そして、情熱的な口付け
「だっ…大丈夫っ!」
思い出すだけで顔が熱くなり、恥ずかしさのあまり身悶えする
肌寒さなど、一瞬で吹き飛んでしまった
「大丈夫ならいいのだけど………。本当に大丈夫?」
挙動不審な小夜を訝しむ貴子
案じてもらっていることに気付かない小夜は両手で顔を包み込み、何度も深く頷く
だがすぐに不安に駆られ、小さな声で貴子の名前を呼んだ
「貴ちゃん」
「なぁに?」
不安げな表情に、貴子の返事も小さくなる
「貴ちゃんの婚約者の方って…その………。他に女の人が居たりしない、よね?」
小夜の言葉に、貴子の表情が凍った
「………分からないわ…。でもお金のある殿方は、遊郭に通ったりなさるんでしょ?」
虎太郎さんは違う
そう言いたかったが、虎太郎の行動を把握していない小夜には、面と向かって否定することが出来なかった
確かに虎太郎の口付けは、とても初めてとは思えなくて
過去にそういう相手が居たのか、はたまた貴子の言ったような場所でそのような行為に興じているのか…不安が募る
9月だというのに、かなり肌寒い
虎太郎さんとうまく───…
脳裏に浮かぶのは、至近距離で自分を見つめる虎太郎の眼差し、熱い吐息
そして、情熱的な口付け
「だっ…大丈夫っ!」
思い出すだけで顔が熱くなり、恥ずかしさのあまり身悶えする
肌寒さなど、一瞬で吹き飛んでしまった
「大丈夫ならいいのだけど………。本当に大丈夫?」
挙動不審な小夜を訝しむ貴子
案じてもらっていることに気付かない小夜は両手で顔を包み込み、何度も深く頷く
だがすぐに不安に駆られ、小さな声で貴子の名前を呼んだ
「貴ちゃん」
「なぁに?」
不安げな表情に、貴子の返事も小さくなる
「貴ちゃんの婚約者の方って…その………。他に女の人が居たりしない、よね?」
小夜の言葉に、貴子の表情が凍った
「………分からないわ…。でもお金のある殿方は、遊郭に通ったりなさるんでしょ?」
虎太郎さんは違う
そう言いたかったが、虎太郎の行動を把握していない小夜には、面と向かって否定することが出来なかった
確かに虎太郎の口付けは、とても初めてとは思えなくて
過去にそういう相手が居たのか、はたまた貴子の言ったような場所でそのような行為に興じているのか…不安が募る