聖夜の忘れ形見
あ………れ…?


怒られると思っていた小夜は、額の感触にそっと薄目を開け見上げた


───っ


破顔した虎太郎と視線が合い、顔を真っ赤にさせる


「顔で湯が沸かせそうだ」


「もぉっ!知りませんっ!」


楽しそうに笑う虎太郎に、唇を尖らせる

ほんの少しの逢瀬に幸せを感じつつも、小夜の心の奥底には大きなわだかまりがあった

それは、虎太郎が女の扱いに慣れていること

妾は公然の存在とされていた時代

自分以外に女が居るのでは…と、言い知れぬ不安に怯えていたのだ


「小夜」


「………」


「小夜」


「知りません」


ふいと顔を逸らし、ふて腐れる


「…仕方ないな。これをやるから、機嫌を直してくれないか」


フーッと溜息を吐き、虎太郎が鞄から風呂敷を取り出した

無言を貫くも、中身が気になって視線を向ける
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