猫かぶりの同居生活
 たくさんの視線がわたしに向かっているのを感じる。これは目を開けなきゃダメ、だよね? 頭の中で訊いても誰かが答えてくれるはずもなく、溜息を吐く。

 よし……!

 ゆっくり瞼を上げると、眩しい光の中に人影がぼんやりと浮かんだ。何度か瞬きして視界をクリアにする。

「あ……」

 鮮やかな金髪、赤髪、黒髪の並びに声を飲み込む。

「大丈夫か?」

 黒縁眼鏡をかけた濃い金髪の男の人が首を傾げた。
 この声…… わたしが起きてることに気付いた人だ。

「は、はい…… っ!」

 腕に力を入れると鋭い痛みが後頭部に走った。
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