シークレット*ラブ
「んじゃ行ってくるわ」


熱はないからと、当然のように仕事に出かけようとする優斗に


「はい…薬。
ちゃんとお昼も飲んでよ」


玄関まで追いかけてそう伝えた。


「おぅ…わかった。

…ありがとう」


優斗はほんの少し優しい顔になり、薬を受けとり玄関のドアを開けた。


「行ってらっしゃい」

見送ってすぐに
何となく違和感が残る…



今…小さな声だったけど

「ありがとう」って聞こえたような…?


『ありがとう』

そんな言葉を優斗の口から聞いたのなんて


何年ぶり?


何だかこそばゆい感じがした。


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