アイスクリームの美味しい食し方
海の底で
ひとしきり泣いたような気がした。

「大丈夫。
1日俺とデートしたくらいで
叔父さんも叔母さんも
店のみんなも、
君がお母さんを忘れたなんて
思いませんよ。」

地上にあがった時、
新がふっと言った。

なんで、
全部分かるの?

「俺をお母さんだと思って
甘えたらいいし、
お母さんと水族館に来たと思っていい。

突然泣き出したっていいし、
弱音を吐いたって
八つ当たりしたっていい。」

新は、
私の手を引っ張って歩いた。

まるで道が開けて行くように
光の指す出口へと。



「だから、
俺だけ信じて
ついて来い。」



私は、もう
後ろには戻れないことを
初めて知った。
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