アイスクリームの美味しい食し方
最初は手が出た。

足を引きずって前に出て、
うずくまる彼を抱きしめ、
ようやく言葉が出た。


「…ごめ…ん。」


それが精一杯だった。


「一生離れんな。」


「うん。」


「もう二度と消えるな。」

「うん。」


「変わらなくていいから。」

「うん。
でもめんどくさいよ?」


「大丈夫。もう絶対見逃さないから。」

「うん。」

私は、
男の人が震えて泣く姿を
また見てしまった。



お母さん、
私は、欲張りな女の子です。

彼の隣がいい。
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