キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「……はっちゃん……」
気づいたら、また泣いていた。
麻耶ちゃんは私の背中をさすり、ぽつりとつぶやく。
「はっちゃんは、どうしようもなく鬼店長が好きなんだね」
テーブルの上の紅茶が、ぼやけて見えた。
それだけで、俊の瞳の色を思い出す。
色素の薄い、茶色の瞳。
「不安になるのは、好きだからだよね」
優しい声が、胸の傷にしみる。
麻耶ちゃんはそれ以上、何も言わなかった。
ただ、肩にもたれる私の背中をさすってくれた。
「私、どうしたらいいんだろう……」
俊が何を考えているのか、全然わからない。
彼が私を好きかどうかさえ。
俊は本当に宇宙人みたい。私はこれから一生、彼のことを完全に理解することなんてできないのだと思う。
それでも、好き。
加工で荒れてしまった手も、にやりと口の片端だけ上げて笑う顔も、茶色の瞳も。全部。
だから、苦しい。