キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「お前はネズミ男か!」
ネズミ男って……もしや、昔の妖怪アニメの脇役の?
「自分でグレー貸したんじゃん!」
好きでネズミ男になったんじゃない。
怒ると、ソファに座ってテレビを見ていた俊が立ち上がる。
近づいてきたので何をされるかと思えば、顔を隠していた手をつかまれてしまった。
「ほら、すっぴん見せてみろ」
楽しそうに口の片端を引き上げ、悪い顔で笑っている。
「い~や~!モラハラ反対!」
「なんでだよ。俺はまつげにゲジゲジつけてたりするより、今の方がよっぽど好きだけど?」
まつげにゲジゲジって。
思わず脱力してしまうと、俊は自分のメガネをはずし、私に触れるだけの軽いキスをした。
「そんな、こと……ないです。姉はすっぴんでも美人だけど、私はほんとに貧相で」
うつむくと、俊は至近距離で目を合わせて囁く。
「そんなことねえって。俺はあのキツイ姉さんより、お前の抜け感のある顔の方が好きだ」
「抜け感って……それ、ほめてる?」
返事の代わりに、俊は私をぎゅっと抱きしめた。
「おお……ノーブラ」
「ちょ……!」
さりげなく背中触ってるし!
「やっぱり、人間は自然が一番だよな」
突然腰に手を回されたと思うと、次の瞬間には、俊に抱っこされていた。
驚いて抵抗もできずにいると、俊の部屋の方に連れて行かれる。
お店の営業中は鍵がかかっていて、俊以外は絶対に入れないようになっていた部屋だ。