キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


二人のお偉いさんは、ノックもせずに寮のドアを開ける。


「矢崎くん、いるよね?」


地区長が大きな声で呼ぶと、がちゃりと俊の部屋のドアが開く。

出てきた彼は、いつもの部屋着に、ロング丈のカーディガンを羽織っていた。


「地区長に部長。突然どうされたんですか?」

「どうされたんですか、じゃないよ」


地区長はとげのある言い方をすると、廊下を奥の部屋へと歩いていく。

その部屋は、鍵が開いていた。

中には会議で使うような長い机と、パイプ椅子が何脚か置いてある。

寮を店長会議や販促会議なんかで使うと聞いたことがあったけど、多分ここがその会議室なんだろう。

地区長と部長が並んで座ったので、俊はその向かい側に。私はその横に座るように命じられた。


なにこれ……いったい、何が始まるの?


私が座ると、地区長が口を開く。


「きみたち、つきあってるの?」

「はい……?」


質問の意味がわからず、さすがの俊もマヌケな返事をする。


「こういう画像が、本社にメールで送られて来たそうだ」


今まで黙っていた部長がスマホを取り出し、画面をこちらに向ける。

俊と二人でそれをのぞきこみ、絶句した。

そこには、閉店したあとの店舗で話す、ずぶ濡れの俊と私の姿が。

そして部長が画面をスライドすると、翌朝ドアの前でキスをする私たちの姿が現れた。


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