キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
そう言うと、矢崎店長は私の頭の上に手を近づけ……そのまま、そっと膝の上に下ろした。
頭をなでられるんじゃないかと思った私は、拍子抜けする。
セクハラだと思われるといけないから、触れるのはやめておこうということなのかな。
店長になら、触れられてもいいのに……。
見上げれば、真剣な表情の矢崎店長の瞳と目が合った。
「……心配するな。俺の店で、そんな卑怯なことは二度とさせない。俺がお前を守ってやるから」
どくん、と心臓が跳ねて口から飛び出しそうになる。
まさか、矢崎店長の口からそんな言葉が出るなんて。
話が途切れる。
また沈黙が訪れる。
雨音が私たちを外の世界から隔絶してくれているような気がした。
もう少し、ここにいたい。
このまま、時間が止まってしまえばいいのに。
「じゃあ、そろそろ帰るわ。話してくれてありがとう」
私の想いとは裏腹に、店長はあっさりと別れを告げる。
「あの……良かったら、少し上がっていかれませんか。お茶だけでも」
本来なら車が止まった時点でそう提案するべきだったのだけど。
「いや、いい。帰って試験勉強しなきゃならないから」
「あ、そうですよね!すみません、送っていただいて、話まで聞いてもらって……」
「いいんだよ。それも俺の仕事だから」