愛のカタチ
「出たら?俺がいちゃマズいなら先に行っとくけど?」
「ううん。そんなことないよ!」
大袈裟な程に、首を何度も横に振った。
ふぅ〜っと、大きく息を吐き、意を決して通話ボタンを押した――。
「はい、もしもし」
「もしもし、俺だけど。さっき、電話もらったけど出れなくて……」
何やら、受話器の向こう側が騒がしい。
「うん。今、三次会の途中なんだけど、遅くなりそうだから今日は実家に泊まろうと思って電話したんだけど……」
「あぁ、そっか!いいよ、楽しんでこいよ!俺も、今、飲みに来てるから」
受話器越しに聞こえる騒がしい話し声。
拓也はいったい誰と一緒なんだろう?
ちらっと賢司を見ると……
素知らぬ顔で、本校舎を背に立っている。
胸が、騒めく。