愛のカタチ


「そろそろ、行くか」


賢司に促され、プレハブ脇の草が生い茂った道を二人で歩いた。 


ここは、グラウンドへの近道。


体育やクラスマッチのとき、時間がなくて、よく通った場所だ。 


膝下まで伸びた草を踏み分け、賢司の後に続いた。


――到着。


手前に、陸上部のトラック。そして、後方にはサッカー部とハンドボール部のゴールネットが見える。  

その先には、網を張り巡らした野球部専門の第二グラウンドが顔を覗かせている。


トラックの正面に降り立つと、心地よい夜風が肌を擦り抜けた。


肩まで伸びた髪の毛が、風に靡いて、頬に張り付く。


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