霧雨が降る森
(そうだった。泣いてばかりいたら、またしぃちゃんを困らせる)





幼なじみの少女は、両親と共に葬儀に参列していた。少年がひっそりと涙を流していても、呆れた顔なんかしないで、「なかないで。わたしがいっしょにいてあげるから」と囁き、持っていたハンカチで目元をぬぐってくれた。





父親は事故で死んだ。




きっとそれはもう、誰にもどうすることもできないのだ。







「……帰ろう。……しぃちゃんが心配する」






それにずいぶん森の奥に来てしまったようだった。



沼があった。

鬱蒼とした森が広がっていた。







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