霧雨が降る森
これより先に道はないようだった。
ー行き止まりだ。諦めるしかない。
少年が踵を返して、とぼとぼと元来た道を歩き出したその時。
全身に、ぞわり、と悪寒が走るのを感じた。
本能に従って森の奥、沼の桟橋を見ると、白い着物を着た髪の長い女性がいた。
全身びしょ濡れだった。それが普通でないのは、一目で分かった。
(ー……<ことりおばけだ>。……本当にいたんだ!)
日がくれてから、それも雨の日は特に危険だと聞いたことがあった。
来るべきではなかったのだ。
言いつけを破るんじゃなかった。
『……呼ンダ?……私ヲ呼ンダノハ、坊ヤ?』
<ことりおばけ>が問う。
逃げなければ。
しかしうまく身体が動かなかった。
足がもつれて、少年はすとんと尻餅をついてしまった。
ぞわぞわと鳥肌がたつ。
ー行き止まりだ。諦めるしかない。
少年が踵を返して、とぼとぼと元来た道を歩き出したその時。
全身に、ぞわり、と悪寒が走るのを感じた。
本能に従って森の奥、沼の桟橋を見ると、白い着物を着た髪の長い女性がいた。
全身びしょ濡れだった。それが普通でないのは、一目で分かった。
(ー……<ことりおばけだ>。……本当にいたんだ!)
日がくれてから、それも雨の日は特に危険だと聞いたことがあった。
来るべきではなかったのだ。
言いつけを破るんじゃなかった。
『……呼ンダ?……私ヲ呼ンダノハ、坊ヤ?』
<ことりおばけ>が問う。
逃げなければ。
しかしうまく身体が動かなかった。
足がもつれて、少年はすとんと尻餅をついてしまった。
ぞわぞわと鳥肌がたつ。

