もう一度、恋をしよう。
気づかなかったんじゃなくて、本当は走ってたから電話に出れなかったんじゃないの…?
「あのさ、美桜……」
「何?」
「美桜の父ちゃんから、留守電が入ってた。
来年、東京に引越すって……ほんとか?」
「………うん。」
お父さんのバカ…
何で先に大和に言っちゃうのよ。
「……そっか。」
頬を伝う夜風が今日は一段と冷たく感じて、私は身震いをする。
「これ、羽織ってろ。」
大和は自分の上着を脱いで、私に掛けてくれた。
「い、いいって!」
「いいから、羽織ってろって。
風邪引くだろーが。」
「…あ、ありがと。」
自分だって寒いはずなのに…私の事を気遣ってくれるなんて。
大和の温かい体温が貸してくれた上着から伝わってくる。