【完】一粒の雫がこぼれおちて。
母親による〝私〟への関心の薄さ、
父親による〝私〟への暴力の接し方。
自分でも気づかない内に私は、〝人間不信〟になっていた。
誰も信じることができなくて。
周り全員が敵のように感じて。
そうやって無意識に人を拒絶して、父親の暴力で傷だらけになっていた私に。
誰も近づいては来なかった。
寂しいとは感じなかった。
〝私〟にとって誰かといることは不思議な感覚で。
独りが当たり前だったから。
……でも3年生になったとき、私に話し掛けてくれた人がいたんだ。
「やる。」
そう言って突然にも手渡されたのは、学校の校庭に咲いていた1輪のパンジー。