【完】一粒の雫がこぼれおちて。





「なんで……兄妹なんだろうな……。なんで、オレたちは兄妹なんだろ……っ?」


「……知らないよ、そんなの。」



〝なんで〟


状況は似ても似つかないけど、僕も思ったことがある。


それも、何度も。



〝なんで、父さんと母さんが……〟



思うだけで叶うわけじゃない。


そんなことは分かっている。


分かっていても、思ってしまう。


子供のように、ただの赤ん坊のように。



〝なんで〟

〝なんで〟


何度も、何度も……。



「……っ、オレが言うべきことじゃねぇけど、しずくを愛してやってくれ……。」


「……分かってるよ。」


「暴力なんかじゃなく、ちゃんと心で……心から……。」





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