【完】一粒の雫がこぼれおちて。
「しずく!!」
後ろから肩をぐいっと掴まれて、私は驚き顔で振り向いた。
「い、和泉くん……!!」
駅から出て来た和泉くんは汗だくで、私は慌ててハンカチでその汗を拭いでいく。
「ごめ……っ。だいぶ、遅くなった……。」
携帯の時間を見れば、約束の時間から30分も過ぎていた。
うそ……まさかそれで?
「急いで、来てくれたの……?」
「……当たり前でしょ。しずくが1人待ってるのに、のんびり出来るわけないじゃん。」
和泉くんの真っ直ぐな視線に見つめられて、心臓が高鳴った。
レンズの向こうにある綺麗な瞳。
それにドキドキして、顔が赤くなっていくのが分かる。