【完】一粒の雫がこぼれおちて。
そんな私の気も知らずに……。
1度自分のハンカチで手を拭いた和泉くんは、ソッと私の手に触れて指を絡ませる。
……こういうときの小さな気遣いが、素敵だと思う。
大ちゃんもだけど、普通男の人って手汗とかあまり気にしなそうだし……。
和泉くんの手は私よりもずっと大きくて。
指を絡ませれば、完全に私の手を包み込んでるようだった。
「お昼食べた? 僕今までドタバタしてて、まだなんだけど……。」
「私もまだだから大丈夫。どこか入る?」
とりあえず目と鼻の先にあったファミレスに入って、少し遅めの昼食をとることにする。
和泉くんはナポリタン、私はエビグラタンを注文した。