【完】一粒の雫がこぼれおちて。
もし本当に“大ちゃん”がただの馬鹿だったとして。
倉橋の睡眠不足にはコイツが関係しているのだろうか。
“大ちゃん”のストーカーじみた着信と、倉橋の睡眠不足を繋げるのは、少しどころか結構横暴かもしれない。
だけど学校にいる間にこんなにも着信が来るのなら、学校外ではどうなんだろう。
休日とか、夜とか。
電話番号と名前が登録されているから、本当のストーカーではないようだけど。
――♪〜♪♪〜〜♪〜
……いい加減、同じ着メロを聞くのにも飽きてきた。
3コール、4コール、5コール……着信音は止まない。
僕の我慢も、もう限界だった。
倉橋の携帯を手に取って、受話器の上がったマークをタッチする。