【完】一粒の雫がこぼれおちて。
「……いや、いい。それよりおまえ。」
「何。ていうか、人をおまえ呼ばわりしないでくれる?」
「しずくが起きたら伝えとけ。……今日の夜は覚悟しとけ。3丁目だ。」
は?
3丁目?
「何、3丁目って。」
「てめえには関係ねえ。いいか、絶対伝えろよ。」
“大ちゃん”はそれだけ僕に言い残して、半ば無理矢理電話を切った。
本当に自己中過ぎだろ、コイツ。
確かに電話は早く終わりたかったけど、一方的に切られるのは何か腹立つ。
それに僕、質問してたんだけど。
「……最悪。」
ボソッと呟いて、未だにツーツーと鳴る携帯を切った。
画面を真っ暗にさせて、さすがにポケットには直せないから、眠る倉橋の傍にでも置いておく。