【完】一粒の雫がこぼれおちて。
「それより、僕帰るから。」
午後の授業もとっくに終わってるし。
「ねえ、和泉くん。」
本2冊と空になったブルーベリーパンの袋を持って、その場を立ち去ろうとしたとき。
後ろからグッと、学ランの裾を引かれた。
「もう、次は何……っ?」
さっきの学ランのこともあって、何だかイライラしたまま振り向く。
――……瞬間。
「ありがとう。」
……気付けば間近に倉橋の顔があって。
僕の体は急に感じる重さに、そのまま後ろに倒れ込んだ。
「は、ぇ……ちょっ!!」
「和泉くん、やっぱり優しー!」
僕が振り向いた途端、力加減も無しに突然抱き着いて来た倉橋は。
倒れたせいで身動きが出来ない僕を良いことに、そのまま好き放題にくっついて来る。