【完】一粒の雫がこぼれおちて。
焦る僕と違って、倉橋は物凄く笑顔だ。
「っ……いい加減離れろっ、倉橋!」
その笑顔を見てると、何でか心臓がドキドキして来る……。
呼吸が思い通りに安定しなくて、顔が一気に熱を持つ。
それはさっきの羞恥より何倍も上で、似てるけど羞恥とは違う。
羞恥とか違って……、それこそ何かの漫画みたいに、胸がキュンとする感じ……。
自分がそんなものを感じるなんて、正直気色悪い以外の何でも無いけど。
「和泉くん、ありがとー。」
もう1度そう言う笑顔の倉橋は……。
何故か物凄く、可愛いと思ってしまう……。
「和泉くん?」
「っ! わ、分かったから……っ!」