【完】一粒の雫がこぼれおちて。
松江大地の足元に転がる、気絶した倉橋が気にくわない。
「返して。」
なんで、言わなかったの。
無駄にいつも、僕に構うくせに。
離れろと言っても離れない、馬鹿力の馬鹿女のくせに。
「お前のじゃねえ、オレのだ。」
なんで、僕を頼らなかったわけ。
腹立つ。
「じゃあ奪うから。」
ダンッ!!という音が。
下の部屋にまで響いた。
「は……?」
目の前で横たわる松江大地は、驚いたように瞬きを繰り返す。
「いいよね、別に。」
掴んでいた腕を離して。
未だに気を失ったままの倉橋を腕に抱えた。
前に自転車の後ろに乗せたときも思ったけど。
ちゃんとご飯は食べているのか聞きたいぐらい、コイツは軽い。