手を繋いで-Pure love-
 蒼のお父さんとは、あまり会ったことがない。
 仕事が忙しくてあまり休みを取れない、と蒼から聞いたことがある。

 会ったとしても、十分もない。
 交わした言葉は挨拶くらい。

 仕事に一直線で、真面目な人だという印象があった。



 蒼の家と俺の家がご飯に出るときは
 大体、蒼とおばさん、俺と母さんだけだった。

 蒼との出会いのキッカケは母さんとおばさんが大学の同級生だったということ。


 言ってしまえば、互いに父親と関係はほとんどない。




 俺の父さんはフレンドリーな“父親”らしい感じ。

 蒼の父さんは仕事一筋の、“仕事人”だった。








 これが、蒼に起きた悲劇の原因。

 おじさんをもう少し楽にしてあげられていたら、起こらなかった。
 そう言って、蒼はまた涙を流した。
< 9 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop