愛しい君へ贈る詩
しかし、当の本人である結衣は全くそのことに気付いておらず、あずみはどうしたら結衣が気付くのかと、悩んでいた。
「それで、結衣がそんなにも夢中になった彼の名前は何て言うの?」
「……さぁ?」
「……知らないの?」
「う、うん…。あ、多分運動部の人!」
「多分?」
「自信はないけど、外を走ってたからきっと運動部なんだと思う」
「どんな感じの服装だった?名前がわからないなら、そこから絞り込むしかないわね…」
「服装……。あっ、さっき描いたデッサンならあるよ」
結衣は鞄の中からスケッチブックを取り出し、あずみに見せた。
スケッチブックを見たあずみは、眉間に皺を寄せていた。
「……これじゃぁ、どこの誰かまではわからないわ」
「そっか……」
「でも、よく描けてるわね」
「そう?」
「えぇ。結衣から見た彼はこんなにもキラキラして輝いていたのね。…この彼に一目惚れでもしちゃった?」
「えぇーっ?!」
「あら、自分で気付いてなかったの?」
「うん。…そっか…これが一目惚れっていうんだ。彼を見た瞬間、胸が高鳴って目が離せなかったの。だけど、この気持ちを何て言うのかわからなくて…。そっか、これが一目惚れ…」
自分の気持ちの正体がわかった結衣は何だか嬉しそうな表情をしていた。