君が隣にいた1年間
「おい!!大丈夫か!?」

咄嗟に少女に駆け寄り、体を揺さぶる。

こう言う場合って、体を動かさない方がいいのか?…いや、多分そう言うのではないだろう。

少しして、少女が目を開いた。

「あなたは……」

軽く乱れた黒い長髪に寝ぼけ眼の少女は、目を覚ましてすぐに、俺の方を見て首をかしげた。

その姿は人外の何かのように可憐で、可愛かった。

「あ、あぁ。俺は神谷 春樹…っていうか、なんで自己紹介の流れなんだよ」

思わずツッコんでしまった。

「春樹?…春樹、ここはどこ?」

ダメだ、話が噛み合わない。

相変わらず寝ぼけ眼の少女は、食い入るように俺を見つめて聞いてくる。

「ここは色蝶市。俺のアパートの前だ」
「?」

こんか寒い中、まだ寝ぼけているのだろうか。

「とりあえず、ここじゃ寒いだろ。汚いけど俺の家来いよ」
「春樹の家?どこ?」

辺りをキョロキョロと見渡す少女を見て思わず
「だからこのアパートだって!いつまで寝ぼけてるつもりだ…」

またツッコミを入れてしまった。
< 2 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop