君だから〜たった一人の君〜

「亜倖サン!!」


「…は?」


久しぶりに呼ばれるその呼び名。


「あの…さっきはウチら、ホンマすんませんでした!!せやから亜倖サンの下でやり直したい思て!!」


「…勘弁してや、普通に暮らしたいねん」


「せやけど…!!」


「…」


振り返りながら頬をぽりぽりと掻く。


「…友だちならなってもえぇけど?」


「―ッ!!一生付いていきます!!」


「付いてこんでえぇ!!」


「いや、でも…!」


「えぇから。…尾行とかしたらどうかるかわかっとるやろな?」


「はい!!」


「うん、じゃあ…また明日な」


「はい!!」


小さく手を振って、歩き出す。


この出会いが嵐を巻き起こすなんて…この時のウチは何も思ってなかった。

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