君だから〜たった一人の君〜

歩み寄って来る―ソイツ。


「逃げんで」


目の前に来た整った顔。


細い腕に抱きしめられる。


「…っ、」


亮…ッ。


「ゃめて…ッ」


腕を突きだして離れる。


「…嫌がらんでもいいやん」


ふ…と笑う。


「俺と亜倖の仲やん?」


「ふざけんなッ!!」


「ふざける?…ハッふざけてんのはどっちや」


「ッ!!」


豹変する顔。


現総長の、顔。


「ふざけてんのは亜倖やろぉ?」


―パチンッ


「顔見んの久しぶりや…伝説の総長・夏川 亜倖」


「ッ、どういうことや」

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