あの日失くした星空に、君を映して。


「美里…なんで」


気付いた風香が驚いて美里さんを見る。


チラッと後ろを振り向いて何かを確認した後、美里はササッと私達の前にしゃがみこんだ。


「久しぶりやんな、特に風香」


「う、うん…久しぶり。やなくて、なんでおるん」


「チャイム鳴る前やのにどっかに行くあんたら見かけたけん、つけてきましたー」


見られてたんだ…


そうだよね、美里さんのクラスの前通ったもん。


私のクラスと違って、先生が来る前には皆席についてた。


「ホームルーム終わってすぐ出てきたんやけどなかなか見つからんでさ。もう授業始まったわ」


「大丈夫なの?」


一応…サボってることになってる私達を追いかけてきた美里さんもそういう体になる。


「1限山本っ!」


語尾に星がつきそうな感じで言った美里さん。


山本って…まさかあの山本先生?


いや、でもうちのクラスには授業に来てないし…


「あ、知らん?生徒指導のクマみたいな先生なんやけどな。うちのクラスの化学担当なんよ」


や、やっぱりあの山本先生なんだ。


学校を抜け出した後、これでもかってくらいこっぴどく叱られたことが原因で、山本先生に苦手意識を持ってしまっている。


事情を話したら苦い顔をしていたけれど、とにかく指導は指導だからって反省文書かされたし。


他の校則違反や問題を起こした生徒は即保護者を呼ばれるらしいから、それを考えたら寛大な処置だったと言えるのかもしれない。


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