あの日失くした星空に、君を映して。


「で、なんがあったん?」


風香の隣に座った美里さんが改めて言うと、また風香の顔が曇り出す。


それを見て何かを察したのか、美里さんが私に向けて口をパクパクとした。


えーっと…ゆ…き、ひさ……?


幸久?工藤くんかな。


コクリと頷いて見せると、やっぱりって顔をされる。


美里さんも風香が工藤くんを好きだって知ってるの?


「あたし…どうしたらいいんやろ…」


風香がポツリと呟く。


どうしたらいいか。


その言葉に込められたものは大きくて、きっと風香にしかわからないようなことがたくさんあって。


助け舟を求めて美里さんを見る。


その瞬間


「いっ…!美里、何するん!」


美里さんが伸ばした手が風香の頬を挟み込んだ。


頬骨を押すような挟み方に、慌てて美里さんの手を引きはがす。


そ、それは痛いよ。


さすがにやり過ぎなんじゃないかと思ったのだけれど、美里さんは平然としている。


私はまだあまり美里さんのことを知らない。


でも…もしかしたらものすごい女の子なんじゃないかな…


< 255 / 427 >

この作品をシェア

pagetop