あの日失くした星空に、君を映して。
「で、なんがあったん?」
風香の隣に座った美里さんが改めて言うと、また風香の顔が曇り出す。
それを見て何かを察したのか、美里さんが私に向けて口をパクパクとした。
えーっと…ゆ…き、ひさ……?
幸久?工藤くんかな。
コクリと頷いて見せると、やっぱりって顔をされる。
美里さんも風香が工藤くんを好きだって知ってるの?
「あたし…どうしたらいいんやろ…」
風香がポツリと呟く。
どうしたらいいか。
その言葉に込められたものは大きくて、きっと風香にしかわからないようなことがたくさんあって。
助け舟を求めて美里さんを見る。
その瞬間
「いっ…!美里、何するん!」
美里さんが伸ばした手が風香の頬を挟み込んだ。
頬骨を押すような挟み方に、慌てて美里さんの手を引きはがす。
そ、それは痛いよ。
さすがにやり過ぎなんじゃないかと思ったのだけれど、美里さんは平然としている。
私はまだあまり美里さんのことを知らない。
でも…もしかしたらものすごい女の子なんじゃないかな…