咲かない花
「職業柄、強いのはつけてないつもりなんだけど・・」
「強くないっすよ。いつも微かに香るって程度だから、気づいてない男も多いんじゃないすか?まぁ、俺としてはそっちの方がいいし」
「あ・・・そう」

何なのよ、その独占的な言い方は!
と思いながら、ムッとしてないどころか、胸ドキドキ高鳴ってる私って・・・。

つい俯いた途端、「茉莉さんの電車、来たよ」と二宮くんから言われた私は、またパッと前を見た。

「・・・ありがと」
「いえ。じゃ、気をつけて」
「二宮くんもね」
「はいっ」


・・・グイッと押してきたと思ったら、アッサリ引く。
二宮くんは「本気」と言ったけど、どこまで本気なんだろう。

私には分からない。
私自身の気持ちだって・・・ドキドキさせられて、グラグラ揺れて、さまよい中。

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