咲かない花
あの会話がきっかけで、翌日の土曜日、私はいつも愛用しているコロンを買いに出かけた。
家の中でグダグダ悩むより、外に出たほうが気分転換になるだろう。
と思っていたのに。

まさか二宮くんを見かけるなんて。
しかも彼は、とても可愛い女性と一緒に歩いていた。


二人はとても仲良さそうにしゃべっている。
何より二人は年齢が近いか、彼女の方が少し若く見える。

二宮くんが何か言って、彼女が嬉しそうに笑っている。
そんな二人の仲睦まじい姿を遠くから見た私の胸が、ズキンと痛む。

・・・彼女の方が似合ってる。
オバサンな私よりもつり合いが取れている。

二人がカフェへ入っていったところを見届けた私は、家がある反対方向へと歩き始めた。



・・・やっぱり私は、花を咲かせることなんてできない枯れ木。
枯れ木に花が咲くのは昔話だけで、現実には枯れ木に花は咲かないんだから。

そうそう。私は34のオバサンだって現実を見なきゃ。

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