咲かない花
恥ずかしさをごまかすように顔を俯けると、テーブルに置いてあったスケッチブックが目に入った。

それは二宮くんも同じだったらしい。

「家でも絵、描いてんの?」
「時々ね」
「どんな絵描いてんの?」
「りんごとかお花とか、刺繍の模様とか。風景も描くけど。とにかく“描きたいな”と思ったものを、鉛筆でササッと描いてる。忘れないうちに」
「ふーん」と思案顔の二宮くんも、それはそれでカッコいい。

つい描きたくなるくらいに・・・ってもう私は・・・。

「あっ・・これ見る?」
「え!いいんですか?」
「うん」

ニコニコ顔でページをめくっていた二宮くんが、手を止めた。

< 127 / 135 >

この作品をシェア

pagetop