透明ガール
昔から冬華はそうだ。



立ち振る舞いが上手く、完璧な人であるのに敵をつくらない。



親しい人には毒舌だが、本当は優しい心を持っている。



冬華はそういうできた人間なのだ。



「それで、沙奈はどうするの」



「うーん。実行委員かなあ…」



「また?本当に仕事好きだねえ」



冬華のいうとおり、中学校時代の行事の思い出は実行委員の仕事ばかりだ。



毎日のように走りまわって、忙しくて、家に帰ったらすぐに寝てしまっていた。



それでも、



「楽しいからね〜」



冬華は否定も肯定もせずに「ふーん」と相づちだけをうった。

















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