猫の恩返し
「んで、今の場所で知り合ったヤツと付き合って…。だけど、あんまりうまくいかなくてさ…」


俺が今の職場に採用された次の年、雅美がやって来た

『来た』といっても、彼女は警察庁の総合職

警察大学校で研修を受けた後、うちの警察署で第一線勤務に当たっていた

美人で明るくて、素直で色気も兼ね備えた雅美はあっという間に署内のマドンナになり、ろくに女と付き合ったことのない俺でも、彼女を見るたび胸をときめかせたものだ

そして未だによく分からないが、俺のどこがよかったのか…付き合うようになった

その後、雅美はコロンビア大学やカリフォルニア大学に留学

帰国してから、少しずつ歯車が狂い始めた


「俺はすごく好きだったから、必死だったよ…。でも───」


自分に至らないところがあれば直そうと、思いつくすべてのことをやってみた

だけど、いくら頑張っても雅美の心が離れていくのが分かり、頑張ることを諦めた

そして決定的だったのが、彼女の部屋に行った時───
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