猫の恩返し
☆そして、前へ☆
ナツが居なくなって4度目の夏が来た

牧野と係長は結婚して異動し、下村にも後輩が出来た

俺も人事異動で別の警察署に移ったものの、アイツとの別れから未だに立ち直れずにいる

覚悟はしてたはずだった

だけどナツが居なくなった喪失感というのは、思いの外大き過ぎたらしい


「今日も、暑いな」


毎年、アイツと出会ったこの日には、墓参りに来ることにしている

市役所でも動物の火葬をしていると聞き電話をしてみたものの、死体は小動物専用焼却設備でまとめて焼却処分され、灰や骨の引渡しや供養はしていないと言われたので、すぐに諦めた

ペット火葬をしている業者のパンフレットを見たりもしたが、人間で居たナツが強過ぎてとても『ペット』として供養する気にはなれず、火葬だけしてもらい骨をもらって帰ってきた

そして俺は自分の墓を作り、誰も入っていないその中にナツの骨を納めている


墓の場所は、例の公園の近く
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