猫の恩返し
「お前…。いつからここの勤務?」


溝口は、俺の署の交番勤務をしていたはずだ


「3年前…かな。今は、留置管理課の係長してる」


「へぇ~。係長…ってことは、警部補か。昇任したんだな。あめでと」


「サンキュ」


溝口と出会ったのは、5年前

帯革、警棒つり(警棒止めバンド付き)、手錠入れ、拳銃入れ等、警官用装備品一式を購入する案件の決裁時

『安さも大事かもしれないけど、せめてもっとちゃんとしたところで発注して』

と、拝み倒しに来たのがきっかけだった

話を聞けば、前に発注した業者の製品は粗悪品とはいえないものの、意外に造りが雑でよく補修をしなければならず、現場の人間が苦労していることを懇々と説明された

高卒のノンキャリで18から警官として働いていた溝口は、当時24で巡査部長

少し遅咲きだった溝口は、まだ右も左もよく分かっていなかった俺に、警察官のなんたるかを楽しそうに語ってくれた

同い年だったこともあり、溝口が非番の日は一緒に飯を食いに行ったり、飲みに行ったりもよくしていた
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