麗雪神話~炎の美青年~
「ディセルとやら、あなたが何かとなえた瞬間、霧が凝縮してあのムカデになったように見えたのだが、それは一体どういう力なのです?」

人懐こい笑顔。

しかし内容はこちらが答えたくない核心をついてきている。

これは案外腹黒と見ていいかも知れない。

隠すこともできそうにないので、セレイアは口を開いた。

「ディセルは、実は私の本当の兄ではありません。
彼は、天が遣わされた神人なのです。
力はご覧の通りです。
霧を虫に変え、霧から人々を守ることができます。
私たちはこの力をいかすために、霧退治の旅をしているのです」

「神人……か」

信じたような信じないような口調だった。何か思案するような響き。

アル=ハルがまた笑顔を浮かべる。
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