麗雪神話~炎の美青年~
「本当の兄妹ではないのか。ならば、二人は恋仲なのかな?」

セレイアは飲んでいたジュースをあやうく噴き出すところだった。

何を言い出すのかこの人は!

「ち、違います! 全然、違います! ねえ、ディセル?」

セレイアが真っ赤になって強烈に否定すると、ディセルはその勢いに圧されたように「う、うん」と頷いた。セレイアは知らなかったが、そのあとディセルはあからさまにしゅんとなって肩を落としていた。彼女に聞こえなかった呟きは、「そんな思いっきり否定しなくても…」だ。

その様子に、経験豊富なアル=ハルはぴんときたようだ。

冷やかすようなにやにや笑いを浮かべてディセルを見た。

「鈍感なお嬢さん…といったところですかな?」

はあ、とため息を返すディセル。

意味の分からないセレイアは「へ?」と間抜けな声を上げてしまったが、アル=ハルは「いえいえ、なんでも」と流した。そしてディセルにウインクしてみせる。

「それにしてもセレイア殿はお強い。女人とは思えぬ強さです。
どこでその技を身につけられたのですか」

「ええ、と…神聖王国トリステアで。故郷がそこなので、自衛のために」

セレイアは嘘をつかない程度にあいまいに答えた。

自分が、嘘がへたなのは自覚しているのだ。

「自衛? なるほど。しかしとても洗練された技術に見えたが」

「知り合いのつてで、さる筋にご紹介いただいたので」

ヴァルクスのつてで、軍部の筋を学んだ。間違っていないだろう。
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