麗雪神話~炎の美青年~
「でしゃばり女め! 護衛とかなんとかいって、本当に戦えるのか? なんなら試してやろうか」
女嫌いのアヴァがいきなり抜身の剣をセレイアの方に突き出してきたので、セレイアは驚き反応が遅れた。のどもとにひやりと冷たい刃の感触がある。
しかし、セレイアは背後からの怒気のほうが気になった。
「軽々しくセレイアに刃を向けるな」
ディセルだ。
突きつけられた刃を素手でつかみ、ぎらりと銀の瞳を怒らせている。
「凍らされたいのか」
ピキピキと音を立てて、ディセルが触れた部分から、刃がみるみるうちに凍っていった。
それを見て、アヴァは「ひぃっ」と息をのんでいる。
「な、なんだよ化けもんか! し、知らねえ!」
アヴァは逃げるように洞窟の中へと駆け去った。
ビッチィだけがいまだに好色そうな顔をしてにやにやしながらセレイアを眺めていたが、ディセルが睨みをきかせると、すごすごと洞窟に入っていった。
入り口前には三人だけになって、セレイアはふうと息をついた。
「四つの部族の人たちって、昔からこんなに仲が悪いの?」
「ええ。僕が生まれた時にはすでにこうなっていたとか…」
「何かきっかけでもあったの?」
「………そ、それは」
ブレイズは言いよどんだ。
言いたくないことなのだろうとセレイアは察して、追及するのはやめた。
「まあいいわ。私たちも行きましょう」
「セレイア、俺が先頭を行くよ。ランタンを貸して」
「ええ」
ぽっかりと口を開けた洞窟の中に、三人の姿は消えた。
女嫌いのアヴァがいきなり抜身の剣をセレイアの方に突き出してきたので、セレイアは驚き反応が遅れた。のどもとにひやりと冷たい刃の感触がある。
しかし、セレイアは背後からの怒気のほうが気になった。
「軽々しくセレイアに刃を向けるな」
ディセルだ。
突きつけられた刃を素手でつかみ、ぎらりと銀の瞳を怒らせている。
「凍らされたいのか」
ピキピキと音を立てて、ディセルが触れた部分から、刃がみるみるうちに凍っていった。
それを見て、アヴァは「ひぃっ」と息をのんでいる。
「な、なんだよ化けもんか! し、知らねえ!」
アヴァは逃げるように洞窟の中へと駆け去った。
ビッチィだけがいまだに好色そうな顔をしてにやにやしながらセレイアを眺めていたが、ディセルが睨みをきかせると、すごすごと洞窟に入っていった。
入り口前には三人だけになって、セレイアはふうと息をついた。
「四つの部族の人たちって、昔からこんなに仲が悪いの?」
「ええ。僕が生まれた時にはすでにこうなっていたとか…」
「何かきっかけでもあったの?」
「………そ、それは」
ブレイズは言いよどんだ。
言いたくないことなのだろうとセレイアは察して、追及するのはやめた。
「まあいいわ。私たちも行きましょう」
「セレイア、俺が先頭を行くよ。ランタンを貸して」
「ええ」
ぽっかりと口を開けた洞窟の中に、三人の姿は消えた。