麗雪神話~炎の美青年~

性格の変わった第二のブレイズは、迷いない足取りで洞窟を奥へ奥へと進んでいった。

分かれ道に来ても、すぐに進む方向を決めてしまう。どうしてそんなに自信があるのかわからない。セレイアたちはついていくだけだ。

時折現れるコウモリたちにも、まったく怯むところを見せず、むしろ短剣で鮮やかに応戦してみせていた。

それはあの日酒場で見た短剣の絶技そのものだった。

やはりあの日の青年がブレイズと同一人物だったとみて、間違いないだろう。

では、彼はヴァルクスについて知りたがっているということで、いいのだろうか…。

それはなぜなのだろう。

聞いてみたかったが、彼の足ははやく、追いつくのでやっとで、会話どころではなかった。

やがて洞窟の最奥部と思われる、広い空間にたどりついた。

そこに、吟遊詩人はいた。

煮えたぎるマグマを背景に、竪琴をかきならしていた。

「…みつけた!」
< 82 / 176 >

この作品をシェア

pagetop