SONG 〜失われた記憶〜
「…間に合った?」
「え?」

玄関まで出向き、
彼を出迎えた第一声のその一言に、
私は訳がわからずに大きく目を見開いた。

「今日、
誕生日でしょ?」
「ぁ、
ああ…多分ギリギリセーフ」
「よかった。
一緒にお祝いしよ?
ケーキ、
買ってきたんだ」

と、
目の前に差し出されたケーキの箱。

大きさからしておそらく、
ホールだろう。


彼は毎年、
どんなに忙しくても私の誕生日には必ず、
ケーキを持って一緒に祝ってくれる。

私が寂しくならないように、と。

「わあ、
ありがとう。


あ、
どうぞ上がって。
散らかってるけど」
「ん、
ありがと」

渡されたケーキの箱を受け取り、
私は彼を家の中へ招き入れた。







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