SONG 〜失われた記憶〜
*****


楽器や機材で埋もれたこの家はお世辞にも綺麗とは言い難く、
生活スペースがあるのかどうかさえ疑わしいが、
一応一階だけは寛げる空間となっている。


いつものように、
彼を一階のリビングへ通す。

「義人さん、
何か飲む?
って言ってもビールくらいしかないけど…」
「いや、
遠慮しとく。
今日は車だから」
「じゃあ、
コーヒーでも淹れるね。
ちょっと待ってて」

カウンターキッチンになっているそこへ、
私はケーキの箱と共に足を運んだ。





コポコポコポ、
とサイフォンでコーヒーを抽出している間にケーキを綺麗にカットする。

色とりどりの沢山のフルーツで彩られたキラキラ宝石のように輝いているフルーツタルト。

真ん中にちょこん、
とネームプレートに"Happy Birthday Uta"と記されている。


こんな風に祝ってくれる者がいるというのは、
やはり幸せだ。

心がぽかぽか、
と温かくなる。



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