……っぽい。
 
そんな中、俺は全国にチェーン展開をしている大手文具店へ営業をかけに外回りに出ていたわけだが、そこで見慣れた人の姿を見つけたのだ。

千晶に部屋を出て行かれて間もなくの、まだ寒かった1月のことである。


そのとき、電車で文具店の本店へ向かっていた俺は、まだ打ち合わせの時間まで少し時間があったので、電車を降りたあとはタクシーではなく徒歩でそちらに向かっていた。

歩いていたのは橋のちょうど真ん中付近で、近くに風を遮るものがないために、橋の上はビュービューと冷たい風が吹き荒れる。

特に大きい川ではなかったので橋も大きくはなかったが、ふと前方を見ると下の川を食い入るように眺める小学生の女の子が目に入った。


ランドセルに黄色い帽子。

もうすぐ2年生に進級する1年生だ。

ここにいるということは、当然、下校時刻なのだろうが、それにしたってこの寒い橋の上から一体何を見下ろしているのだろうと不思議に思った俺は、女の子の近くを通り過ぎるとき、興味が湧いて下を覗き込んでみたのだ。

すると。


「あったよ!あったぁ!」


川に膝下まで浸かり、そう叫びながら嬉しそうに手に何かを握って女の子に見せている一人の女性が--って、せせせ先輩じゃないっすか!?

なんてことしてるのーっ‼
 
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