……っぽい。
 
「じゃあ、今日は縛られてみますか? それとも大人の玩具で遊んでみますか?」


ある日の夜。

自然と寄り添い、顔を近づけ貪るようなキスをして、先輩の熱っぽい吐息や紅潮させた頬、潤んだ瞳にOKをもらった俺は、ほんの冗談のつもりで今日のメニューを尋ねてみた。


どうやら先輩は言葉で攻められるのも好きなようなのだ、何それもう超可愛い。

そういう俺は、もちろん縛り方なんて知らないし、しほりさんのソレは先輩がすでに返却済みであり、ステップアップとして一度は手を出そうかと本気で考えたが、先輩の様子から趣味ではなさそうだと踏んだ俺の手元にはない。

要は、冗談だから言える言葉プレイだ。

が。


「……え、じゃあ、縛られてみよっかな」

「は!?」

「笠松、縛れるんでしょう?」

「冗談分かって!嘘だから!」

「そうなの? でも、笠松になら縛られてもいいかな……って。思っちゃったん……だけ、ど」


何をマジで選んでいるのこの人!

そして自ら志願て‼

先輩はもはや、なんでもありの人のようだ。

仕方がないので、その日はネクタイで目隠しをし、めっきり感じやすい体になってきた先輩にソフトっぽいことをしてあげた俺なのだった。





……こんな可愛い珍獣、もう手放せない。
 
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