……っぽい。
先輩がグースカと気持ちよさそうな寝息を立てているベッドのほうを見やり、同じく笑って言うと、千晶もベッドに視線を向けていて、しかしある点に気づいたらしく俺に向き直った。
「ベッド、替えたんだね」
「前に過呼吸起こして。カグが替えてくれた」
一緒に住んでいたとはいえ、今は先輩と住んでいる部屋を不躾に眺めることは避けていたのだろう、俺の視線を追ってベッドが目に入ったときに替わっていると気づいたらしい。
カグが替えてくれたベッドは、千晶と使っていた頃の黒から一変して、白を基調にしたガーリーなカントリー風のベッドだ。
ヘッドボードは、文庫本や目覚まし時計、アロマなどのちょっとした小物なんかが置けるスペースがあり、先輩はそこにクラゲのスノードームを置いて自分の癒しにしている。
……俺はちっとも癒されないけど。
「橘さん、過呼吸の症状とかあるの?」
医療に関わる者としての条件反射なのだろう、幾分、真剣な声色で千晶が尋ねる。
「ここ最近はずっと落ち着いてるけどな。だから正直、何時間も千晶と一緒にいて過呼吸を起こさなかったのが奇跡だと思ってる。あの人、見た目よりずっと脆いから」
「そう……」