……っぽい。
カグから『千晶なら話聞けるんじゃないか』と言われたくだりは嘘ではないが、そのあとにカグは『当たって砕けて、千晶も前に進め』とも言っていた、ということ。
今日の夕方に雨が降る予報を見て、一か八か、自分の運を賭けてみることにしたこと。
雨が降らなかったら別の日に、降ったらわざと濡れて会いに行くと決め、傘は最初から持たないで自分の部屋を出たこと。
「誤算だったのは、橘さんが夏風邪で寝込んでいて、部屋にいたことと、その珍獣のおもてなしが大胆不敵で斜め45度だったこと」
「大胆不敵で斜め45度……」
「そう。ジュンノなら大体の予想はつくと思うけど、ネグリジェ借りて、一緒にお昼の『ちんじゅう』オムライス食べさせられて、一緒にノンアルで酔っ払ってって、そんな感じ」
再びテーブルを挟んで俺の向かいに落ち着いた千晶は、そう言ってふっと口元を緩めた。
その顔は、ひがみも妬みもなく、ただ純粋に先輩というクラゲ珍獣のおもてなしぶりを思い出して口元が緩んだと、そういう感じだ。
「マジか……。でもあの人、千晶が訪ねてきたって分かってたぞ? そんなんでよく仲良くオムライスなんて食えたモンだわ。さっすが珍獣」