……っぽい。
 
もう本当にこれ以上は息が続かない。

そう切実に感じたところでガクンと私の腰が勝手に砕けてくれて、笠松がようやく唇を離す。


「ベッド、行こう」

「……」


ずるずると床にへたり込み、服の上から心臓を掴んで肩で荒く息をしている私の前にしゃがむと、笠松は背中と膝の裏に手を添えて私を抱きかかえると、そのままベッドへ向かう。

すでに2人とも十分にびしょ濡れで、床や廊下を進むたびに、急速に冷めていくお湯がボタボタと大きな音を立てて落ちていく。

シャワーも止めなかったし水道代高くつくんじゃないかな、床の掃除もどうしよう、雑巾買っておけばよかったなどと運ばれながら考える私は、頭のネジがどこか緩んでいるのだろうか。


「先輩、着衣プレイも好きそうだよね」


ベッドに下ろし、そのまま私を押し倒した笠松は、器用に片手で両手首を掴んで私の頭の上で固定させ、ポタポタと髪から雫を滴らせながら不適に囁き、首筋に顔を埋めた。

今日の私の部屋着は、首回りがざっくり開いている、笠松曰く夏仕様のネグリジェだ。

鎖骨がはっきり出るので着たときは変にスースーするものの、慣れれば特に問題はなく、むしろ涼しくて快適な代物だった。
 
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